厚生労働省のホームページで新型コロナウィルス感染状況が、オープンデーターとして公開されたようです。
意味するところは、データを生材料として加工可能になったという事です。
「さらに統計やプログラミングができれば、どんな複雑なデータ解析も一人でできる。」
Excel統計分析スキルを利用できれば楽しくなります!
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オープンデータの意味
毎日新聞 2020年7月16日 東京朝刊
厚生労働省のサイトから新型コロナウイルス感染状況が、オープンデータとしてダウンロードできるようになった。7月3日の大臣の定例記者会見で発表されたらしいが、残念ながらマスコミでは全くニュースにならなかった。データに気付いた人がツイートし、5日になってネットで話題になり、私が知ったのもそのおかげだ。
確かにわかりにくいニュースだが、実は行政の姿勢の転換として大きな意味がある。
以前から厚労省は、ホームページで新型コロナウイルス感染症に関する特設ページを作り感染状況などをグラフで発信していた。しかし、大臣会見によると「見にくい、分かりにくいというご批判が多かった」そうで「CSVファイルというデータの形で過去のデータも提供する」ことに。
今、検索すれば誰でも日ごとの陽性者数や検査数、緊急貸付先の状況までさまざまなデータをダウンロードできる。ただ、そのファイルを開いても数字が並んでいるだけ。前からあったグラフで十分なのに――なぜ、これが大臣の言うような改善になるのかと疑問に思うかもしれない。
しかし以前なら陽性率のグラフはなかったので、必要なら陽性者数と検査実施件数のグラフから数値を読み取り、割り算を何日分も繰り返しグラフ化することになっただろう。しかも、以前のグラフは画像だったから目分量で読み取るしかなかった(今はグラフも改善されマウスで指すと数値が出るようになっている)。
グラフの画像は人間がデータを直感的に捉えるならいいが、コンピューターで読み取り、計算処理するには適さない。グラフにする前の数値データのまま自由に使わせてほしいというのが、データ解析できる人たちの希望だった――その声が「皆さんの情報ニーズに合わせて」という大臣発言につながっている。
そして「行政の姿勢の転換」といったのも、その部分だ。例えば料理人なら「完璧な皿」に仕上げて客に出すのがプロのプライドという傾向が強いのが日本。一般の人には数字だけではわからないだろうと国民がどんなグラフを求めているかを考え、それを仕上げて提供するのに徹夜しても頑張るのが日本の役人。
オープンデータは違う。いわば、調理は客におまかせしますと食材のまま出す料理人か。新型コロナ関連のオープンデータ化は、東京都などからはじまり――「遅かった」や「やっとか」という声もあるものの、厚労省がそこに続いたことは素直に評価したい。ぜひこの流れを止めずに、より生に近いオープンデータを積極的に公開してほしい。
インターネットとコンピューターの時代には、誰でもがちょっとした知識さえあれば――さらに統計やプログラミングができれば、どんな複雑なデータ解析も一人でできる。その時代の行政の立ち位置はどうあるべきか。新型コロナが、多くのことを変えるきっかけになっていることは確かだ。(東洋大INIAD学部長)
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